일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면

아오조라 문고

そこの遊行坂は、今でも、かなりな急坂である。ぼくの八、九歳頃は、もっと道も悪かった。雨の日の通学などには、やたらに辷ったり転んだりしたものである。鼻緒の切れた足駄の片ッ方を番傘の柄と一しょに持って、ベソを掻き掻き、登り降りした坂道だった。

片側は道に迫った高い崖で、片側だけが麓の遊行寺の門前まで、近頃の分譲地みたいなヒナ壇式の住宅地になっていた。

日本人の家といっては、桜並木の角のある小さな雑貨店と、おなじ通りの西にある神崎騎手の邸宅ぐらいなもので、この近所はほとんどが外人の家だった。ぼくらはそれを古風な意味でも何でもなく、日常語として“異人館”とよんでいた。

自然、ぼくらの遊び仲間はジョージだのフランクなどという純粋な、紅毛児とも一ショクタであった。ぼくらに国境感はなく、めったに啀み合いはしなかった。けれど、小うるさいからかい方をしたり、小国的な悪戯をよろこぶ風は、どうもぼくらの方にあったらしい。何かで喧嘩になると、あッちはあッち組、こっちはこっち組、自然、さっと国境ができた。

外人の子を泣かせると、かならずその子の親父かおふくろが、えらいけんまくで異人館の中からぼくらを目がけて呶鳴り出して来る。