후리가나로 읽는 일본 고전
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
吉川 英治의 梅里先生行状記(ばいりせんせいぎょうじょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 209,260자 · 418화면
十六
誤まった道にこそ立て、その主を裏切らず、その主従の道に殉じていった心根をあわれな限りに思った。
「又四郎……」
と、合せていた掌を解いて立ちあがりながら、佐々介三郎は、もう一度、かれへ向って頭をさげた。
「――真に、老公の唱える大義の武を解するものはやはりおぬしだった。水戸士道もわれらの学問も、そこを泉として湧きあふるるものでなければならぬ。……いつぞやの夜の論議は、おぬしに上座を譲ったぞ。……いや、思わぬ余事を。さあ、急ごうか」
十六
その日の組能の何番目か、もう舞台はひらかれているらしい、遠く笛の音が聞える。大鼓や小鼓の大らかな響きが流れて来る。
その能舞台のある建物の位置は、大書院と対いあって庭園の一面に独立して離れているが、演舞を見る日は、こちらの大書院その他の母屋が、そのまま貴賓や太守や奥方などの席となり、近衆の人々も侍女の群もみな左右に居流れるので、広書院はちょうど恰好な桟敷となる。
一段低く、そこと能舞台とのあいだの庭は、すべて、幕囲いと莚敷きに依って清々しい陪観席となっている。青竹で区切られたそれぞれの席に、家中の老いたる者や幼い者までが、行儀よく、静粛に拝見しているのを、太守や奥方は、舞台につかれた眼の遊びに、其処此処の団欒を、微笑ましげにうしろから眺めている容子であった。