후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
ぐらいな感じは子供心にも分って来そうなものだったのに、ぼくは一こう気づいてもいなかった。
やがて、家の没落が、父自身の口からあきらかにされ、同時に、学校は中退しろ、他家へ奉公に出ろ、と突然云い渡されたのだが、その日その時まで、全然、何も知ってはいなかった。自分らの々と暮していた家庭がそんな脆いものとは、夢にも思えなかったのである――だから、その間の記憶はみな後日になって独り思い当ってきたり、母の過ぎた愚痴やら周囲の変化から自然あとで察しられたことでしかない。甚だ曖昧な云い方だが、事実何とも、あんにゃもんにゃの年代だったのだから仕方がない。――それがぼくの幾ツぐらいかといえば、それもはっきりいえないが、何しろぼくが十四歳になる前の一年半か一年そこそこの間に、らちゃくちゃなく、一家破滅となったのは確かであった。同時に、今となって思えばそれがぼくの尊い、あんにゃもんにゃ時代の終熄でもあったのである。
何か、家の中が近ごろ変だと子供心にも感じ出した事のうちでも、いちばん変に思ったのは、真夜中に二階の道具類を、見知らぬ他人が何人も来て、まるで芝居で見た石川五右衛門の手下達のように、梯子段から裏口へ担ぎ出して行く光景だった。