후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
少し話がわきへ反れたかたちである。その後、ぼくは小間物行商を廃めたが、廃めるには、次のような事が動機と云えなくもない。
ほんとは、とうに厭だったのだが、思いがけない義兄の子がふえたりした為、一日も遊んではいられず、毎日の行商も、泣き泣き続けていたのである。
だから成績は依然上がらない。或る晩、売子宿の店主からこう訊かれた。「いったい、君はどの方面を歩くんだい」「平沼から、保土ヶ谷や青木町なんかですが」「ばかだなあ。あんな新開地は、畑や山道が半分以上じゃないか。君の家は、前にいい暮しをしていたっていう事だが、少し、知ってる家を廻ってごらん」「…………」「親父さんが懇意とか、お母さんの親しい家だってあるだろう。そういう所から順ぐり歩いて、も少し、ちゃんとした住宅地を歩くこったよ。犬に吠えられたり、女中に断わられたりしても、すぐ引っ込んでしまうんじゃ、いつまで、行商で飯は食えないぜ」励ますつもりか、売子宿の店主は、ぼくを馬鹿扱いにして云った。
知人の家を廻って、買って貰うなどという事なら、何も入れ智恵されるまではない。けれど「それだけはおよし……」と母からも云われていたし、ぼくにも小さな見得がある。