후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
しかしそれ程、ぼくはその晩を、一家の危急と慌てたのだった。
それから一ヵ月半ほど経って、ぼくは横須賀支店へ廻された。
当分、横浜へも帰れないので、主人から半日のお暇が出、その事を家へ知らせに寄った。この日もぼくには感銘が深い。前の場合よりは、もっと印象的な記憶がある。というのは、思いがけなく、ぼくの弟が一人ふえていたからだった。母は産褥に横たわってい、産れてから間のない赤ンぼをそばに寝かせていた。これが三男の晋だった。
ぼくは産褥の枕辺に坐って、出来立ての人間の子をしげしげ覗いた。いかにも小さく、しなびて見え、そして真っ赤な皮膚にトウモロコシの生ぶ毛みたいな毛が頭の辺に少し生えていた。
母は、ぼくの支店行きを聞いても、ぼくを励まそうとするのか、それとも何かべつに生計の目あてがついていたのか、そう落胆はしなかった。父もこの日は機嫌がよかった。ぼくは明るく横須賀へ立った。
横須賀支店は、若松町の辺で、坂下から数歩の表通りだった。店のまん前には、浅黄暖簾に“てんぷら、若松亭”と染め抜いた料亭があった。舞台で見る信濃屋お半みたいな、結綿に鹿の子帯の娘が、よく海軍士官やお客と暖簾の蔭でふざけていた。