후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
そして、ふらふらと空想を実行へ移すような誘惑にかかっていた。が、あぶなく、ぼくは見つけられて、上甲板へつまみ出された。もうタラップも揚げかけていた所だった。そのときは、ひどく怒られた。
秋、ぼくに、も一つ愉快な事があった。それは人知れず投稿した俳句が、横須賀新聞といったか、土地の新聞の記念募集の一位になった。わずかだが賞金があった。店の人たちは、誰も気づかなかった。
ところが、それからもちょいちょい投吟しているうち、或る時、選者のなにがしという俳人と新聞社の人が訪ねて来た。新聞社の名刺なので、ほかの店員がそれをちょうど奥へ来ていた主人夫妻に取次いだ。結局、ぼくを訪ねて来たのだと分って、ぼくは顔を真っ赤にして狼狽した。その晩、御しんさんに呼ばれて「うちは商店ですよ」と切口上で云われた。それから主人夫妻が支店に居るうちは、俳句雑誌を寝床に持ちこむこともやめ、新聞へ投稿するのもやめた。何かこりこりしたような気もちが残っている。ほかの店員からもそれは余りよく思われなかった事だったのかもしれない。
その冬か翌年の一月頃か、冬というだけで月も日も忘れてしまっているが、その横須賀でぼくは小島の小母さんにぱったり会った。