일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면

아오조라 문고

家に待つであろう者の為に、経木で包んだ安魚を持ったり、菜漬をブラ下げたり、米屋へ立ち寄っていたりする人影を見ると、ぼくには他人の生活とも見えなかった。おなじ険しさをよじ登る同行者に思われた。

それにまた、当時ぼくの通勤し初めた横浜船渠の船具部という職場が、ほとんど彼らと隔差のない姿や範囲のものだった。違っているのは、彼らに期待できない危険極まる随所の足場仕事だとか烈しい重労働だけである。要するに会社常雇のA級かんかん虫が船具部であるといってもよい。

一万噸級が入る第一号ドックを前にして、職工長やパイロットがいる事務所があり、それに隣してトタン屋根の船具部があった。朝夕、百何十人が工服に着更えたり弁当に帰ったり、冬なら大きなペン缶に薪を突ッ込み、お手の物の油脂をぶッかけて、炎々濛々の中で各班の馬鹿話やら喚きが詰め合っている職場小屋である。まあ炭礦の飯場小屋といったような光景だろうか。

山の労務者と一見違う所は、その服装と特有な気質であろう。入渠船のペンキ塗工はすべて彼らの手に成るので、工服は一人残らず斑で色さまざまなペンキの粒子を染め重ね、それがゴワゴワに硬ばッて、乾漆みたいになっている。