후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
その事は、後年一家をなしても、決して、富裕にもなれないし、食うや食わずの大家すら存在した当時の文学者や画家にさえ一生を賭して成ろうと志す未来夢の持ち主が、本郷、神田辺を中心に、うようよ居たのを見てもわかる。
むろん、押しなべて彼らは一様な貧書生であった。しかし書生の名には誇りがあった。彼ら自体に一つの節操と制裁をも持っていた。軽薄を嫌って、持ち前の野性、その蛮カラ振りを都人士の中に振舞うのを快とした。現代のアルバイト学生とたいへん違うところは、明治の若さには、総じて楽天的なものが溢れていたことである。彼らの未来夢の信念が演じる稚気や滑稽にたいして、社会人は寛大だったし、また一般に、書生さんなるものを愛する気もちが、庶民全体の中にあった。現今のように、学生と大人とが対立し、蔑視し合うことはなかった。大人の狡才を倣って、抜け道や横丁を巧みにくぐろうとする智恵を持たない若さだった。人生の門戸の正面から堂々と、唯、努力と勉学に依ってのみ通るものと極めている時代の例であったから、一般人の愛や同情に媚び諂うでもなかったのである。当時の川柳家阪井久良岐の句、
いまに見ろ見ろよと歩く永田町