후리가나로 읽는 일본 고전
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면
野放しな児童のあいだでは、遊戯以外、どうかすると、こんな気まぐれも行われていたのである。タコの心理や環境などにも、学問的にはいろいろ云えるだろうが、大人の頭脳では分析のつかない点もある。電灯がなくランプ時代の暗さというものをもう今日のぼくらは思い出せなくなっている。原因のひとつは、世間の暗さにあったように思う。それに適合して、どんな暗闇でも、蹴つまずかずに飛んだり刎ねたりしていた、いわば野性の子達であった。
ぼくの家はよく引っ越した。青い窓の家から、もっと坂の上の、そして前より広い家へ移った。
門を並べて、すぐ隣りは、郵船会社の小沼さんだった。勤め人が立派なものに見えたのは、小沼さんの出勤ぶりを見てからである。毎朝、お迎えの人力車が来る。美しい鼻下の髭と金ぶちの眼鏡に、葉巻のにおいが流れ、小間使が、膝まで手を下げて見送っていた。
まもなく、また、その後から、ふっくらと色白で、ぼくを見るといつもほほ笑みかけてくれる奥さんが、どこかの女学校へ出勤してゆく。奥さんは髪を流行のイギリス巻にしていた。和服のときは袴に靴をはいて出かけ、洋装にはネットで顔をつつんでいた。