일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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わすれのこりのき

忘れ残りの記

吉川 英治

吉川 英治의 忘れ残りの記(わすれのこりのき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,050자 · 383화면

아오조라 문고

ぼくは幼少時にその頃の東京を二度見、その頃の汽車に二度乗った。いちどはまだ小学以前か一年生頃であった。母に連れられて母の郷里の佐倉へ行ったのである。おそらく母にとってもそれは結婚後ただ一度か二度の愉しい帰郷であったかと思われる。

今では日帰り距離にすぎないが、当時は横浜から千葉県佐倉への旅行というと、ひどく億劫がッていたものらしい。もっとも汽車が桜木町駅を離れると、京浜間は、鉄道唱歌そのままな緑の田園風景が新橋駅までつづき、車窓の顔はみな長閑な眠気と旅行感にウトウト誘われたものである。

その時の旅行では、母と共に東京の親戚の家に一泊した。母の実姉が嫁いでいた先である。北白川宮の邸内に住居があった。

泊った翌朝、宮家の事務官と伯父のあとにくッついて、邸内のあちこちを見あるいた記憶がある。若宮様のお部屋と聞かされた所にニッケル色のレールが大きな円形を描いていて、それに精巧な玩具のアルコール機関車が乗っていたのを、誰かがその汽車を走らせてぼくに見せてくれた。

終戦後はよく、大人までが面白がって、貨車、機関車、停車場、レールなどの部分品を買い集めては組み立てたあの舶来玩具なのだが、その頃としては、宮家でもなければ無かったものだろう。