후리가나로 읽는 일본 고전
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
吉川 英治의 梅里先生行状記(ばいりせんせいぎょうじょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 209,260자 · 418화면
静かに、かれはそこを、渡って行った。そして、焔の白くゆらぐ障子の内へ、縁側から両手をつかえて、そっといった。
「紋太夫にございまする。お召しの由、参りおくれましたが、何ぞ、ご用でございましょうか」
「紋太夫か。はいれ」
かれが、そこを開けると、老公は書見台を横へ押しやって、膝の角を折っていた。
「あとを、閉めたがよい」
「はい」
ふと、次の間をふり向いて、老公は、明りの影から遠くひかえている者へ、
「介三郎。そちは、退がっておれ。――境の杉戸は、たれも来ぬように、固く閉めてまいれ」
と、いいつけた。
次のその部屋の薄暗い加減もあろうが、介三郎の白眼が、らんとして紋太夫のすがたを睨まえているように見えた。
介三郎は、ちと、立ちかねて、もじもじしていた。佞猛な野獣の前へ、老いたる主君をあずけてゆく気持が、何としても、不安でならないらしいのである。
「立たぬか」
再度いわれて、
「はっ」
介三郎は縁へ出た。そして橋廊下との境の杉戸もあとから閉めて行ったようである。
「…………」
ややしばし、燭の影が、畳にかすかな揺れを落しているだけだった。
「紋太夫、もすこし寄れ」
「……はい」