후리가나로 읽는 일본 고전
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
大鹿 卓의 渡良瀬川(わたらせがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 280,528자 · 557화면
正造は昨日にひきつづいて伊藤章一に浄書を手伝わせていたが、手桶をもってきて雨漏りを受けたり、机を抱えて逃げ廻る始末だった。
「こんなに降っては、また水が出るにちがいない」
正造は何回となく縁側に立って暗い簷先を覗いた。午過ぎのことである。正造は厠に入って、今にも折れそうに打ちたたかれている青柿の枝を見ていたが、ふと雨音のなかに聞き耳をたてた。木立をへだてた秋山川の堤防の方で、人々のたち騒ぐらしい罵り声がしている。正造は厠を出ると、
「どうも堤防が危いらしい」
と、いい捨ててあわただしく庫裡へいそぎ、土間へ下りて草鞋を穿きだした。伊藤が書類の始末をしてかけつけた時には、もう蓑笠をまとって雨の中へ走り出ていた。
伊藤もすぐ身支度をして堤防の上へ来た。秋山川は烈しい雨脚と掠めとぶ水煙りの底に満々とふくれあがっていた。濁流の面には無数の渦がわきたって、渡良瀬の本流から差しこんでくる逆流の気配が底気味悪かった。伊藤はしばし茫然と水面を見つめていたが、われに返って蓑笠の群へ近づき、正造の姿を探ねて歩いた。同じような蓑笠なので一々笠のうちをのぞいて歩かねばならなかった。