후리가나로 읽는 일본 고전
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
大鹿 卓의 渡良瀬川(わたらせがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 280,528자 · 557화면
欠伸の主は黒の紋服をきた六十前後の肥った老人で、着物の袖から逞しい両腕を高々と突きだしたまま、集る視線に動ずる色もなく、最後まで十分に伸びをして裕々と手を下した。
磯野裁判長が手をあげて「これ、これ」と注意した。
「公判廷でそんな振舞はつつしまねばいかん。傍聴人は静粛謹慎にしておらねばならぬくらいのことは心得ているだろう」
「はい、はい」
老人は、看守たちが引きだそうとして寄ってくるのを、後目にかけて席を立ち、衆目環視のなかを何か危げな足どりで退廷した。いうまでもなく田中正造であった。傍聴席には、それを見送ってクスクスと忍びわらいを洩らす者もいたが、果して何人が、この傍若無人の欠伸の裏に、正造の無言の憤りがひそんでいたことを理解したであろうか。検事はこの欠伸に悪意のあることを認めて、官吏侮辱罪としてただちに起訴に及んだ。
次回から引きつづき十数回にわたる公判廷で、花井卓蔵、鳩山和夫をはじめ数名の弁護士の弁論があった。いずれも公訴事実を否定し、検事の論告を反駁して、被告の無実を主張した。
こうして十二月二十二日に原田を除いた被告一同が法廷に出席して、磯野裁判長から判決の言渡しを受けた。