후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
国枝 史郎의 神州纐纈城(しんしゅうこうけつじょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 188,242자 · 380화면
第十六回
一
若い女の声であった。夜の闇が彼女を包んでいた。
「来やあしないよ、来るものか」
これは老人の声であった。どこにいるとも解らなかった。女の側にいるのかもしれない。少し離れているらしい。夜の闇が彼を包んでいた。
「来ない筈はないわ、来ますとも」女の声は繰り返した。
「おや、大きな星が出たよ」
これは子供の声であった。子供の姿も解らなかった。だが抱かれてはいるらしい。その母の膝の上に。
「ああ駄目だ、消えてしまった」
「ね、妾は思うのよ、お助けが来る、お助けが来るとね」女の声は云いつづけた。「来ない筈はないじゃあありませんか、こんなにこんなに苦しんでいるのに」
「黙っておいで」
と別の声が云った。若い男の声らしかった。
「もう沢山だ! もう沢山だ! もうそんな事は思わないがいい」
若者の声は絶望的であった。若者の姿も解らなかった。女と向かい合っているらしい。どうやら女の良人らしい。
月も星もない闇の空が、その人達を蔽うていた。遥か彼方の伝奏屋敷の方から、ワーッ、ワーッという鬨の声が起こった。だんだんこっちへ来るらしかった。が、急に北へ逸れた。大熊備前の屋敷の角を、右の方へ曲ったらしい。