일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

岡本 綺堂의 綺堂むかし語り(きどうむかしがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 183,656자 · 363화면

아오조라 문고

十分か二十分でゆかれたところも、三十分五十分を要することになる。勿論どの電車も満員で容易に乗ることは出来ない。市内の電車がこのありさまであるから、それに連れて省線の電車がまた未曾有の混雑を来たしている。それらの不便のために、一日いらいらながら駈けあるいても、わずかに二軒か三軒しか廻り切れないような時もある。又そのあいだには旧宅の焼け跡の整理もしなければならない。震災に因って生じたもろもろの事件の始末も付けなければならない。こうして私も妻も女中らも無暗にあわただしい日を送っているうちに、大正十二年も暮れて行くのである。

「こんな年は早く過ぎてしまう方がいい。」

まあ、こんなことでも云うよりほかはない。なにしろ余ほどの老人でない限りは、生まれて初めてこんな目に出逢ったのであるから、狼狽混乱、どうにも仕様のないのが当りまえであるかも知れないが、罹災以来そのあと始末に四ヵ月を費して、まだほんとうに落着かないのは、まったく困ったことである。年が改まったと云って、すぐに世のなかが改まるわけでないのは判り切っているが、それでも年があらたまったらば、心持だけでも何とか新しくなり得るかと思うが故に、こんな不祥な年は早く送ってしまいたいと云うのも普通の人情かも知れない。