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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

吉川英治『剣の四君子・日本名婦伝』。同一底本的分册已合并为一书。收入:剣の四君子、剣の四君子、剣の四君子、剣の四君子、日本名婦伝、日本名婦伝、日本名婦伝、日本名婦伝、日本名婦伝、日本名婦伝。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 页

青空文庫

と、攻囲軍の武威を誇示し、官軍の弱さを嘲弄したところ、城兵の士気はかえって反撥され、

「軍旗は、私のものではない。国家の軍隊の旗だ。不臣な賊軍輩め、国家を辱めるか」

と、激烈な小銃弾や砲弾が辺見隊へ集注され、さすがの辺見隊も一時沈黙してしまった。

「城内にはもう役に立つ大砲もないらしいぞ」

大木の上によじ登って見物した村田三介は云った。

「鎮台内の大檜を伐り、それで木砲を製造しておる。糧食もとうに無いはず、木の皮でも喰っておるにちがいない。もう一押し、もう一押しだぞ」

包囲軍はまた、井芹川やその他の河流を堰いて、鎮台のふもとの一方を濁水で浸した。

段山の丘ひとつの争奪戦に、一日のうち、薩軍の死傷百余、籠城方の死傷二百二十五名というような、無茶な肉弾戦も繰返されたが、依然、そこの防禦線は、死守する台兵の手にあった。

西郷以下の幕僚が当初から即戦即決を期してかかった作戦は、根本から誤算となった。薩軍の急迫は、むりもない焦躁であった。なぜならば、こうして思いのほか長びいている間に、すでに、官軍の征討総督軍は、東京・大阪・諸師団の優秀な装備をもって、疾くに南下の途についていたからである。