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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
吉川英治『剣の四君子・日本名婦伝』。同一底本的分册已合并为一书。收入:剣の四君子、剣の四君子、剣の四君子、剣の四君子、日本名婦伝、日本名婦伝、日本名婦伝、日本名婦伝、日本名婦伝、日本名婦伝。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,635 字 · 306 页
二
家康が野州へ向って手薄となったのを観て石田三成、小早川秀秋、浮田中納言、その他の反徳川聯合は、俄然、活溌な行動を起し、この機会に、大坂城以外の関東勢力を一掃せんものと、すでに大きな陣容のうごきが、京、伏見、近江、美濃の尨大な地域にわたって起され、その先鋒はもう関ヶ原の一端に、いわゆる「天下分け目」のただならぬ気を孕んでいたのだった。
小山陣から帰された者は、ひとり自分だけでないこともわかった。大小名の帰国してゆく者も多い。単身、物の具を携えて、何処へやら急ぐ藩士や浪人も町に見えた。
「何か、容易ならぬ御書面とみえる。時遅れては――」
と、宗矩は夜を日についで馬を励まし、郷里柳生谷へ急ぎに急いだ。
二
鷹ヶ峰で手放されてから、そのまま父と相会わぬこともすでに四年ぶりであった。どんなにお変りになったろう。いやいや、平常のお心懸、老来いよいよ御壮健かも知れない。
宗矩の心は、公私二つに惹かれていた。――主君から託された父への書面の内容も気がかりであった。
「やっ、叔父上ではありませんか」
兄の厳勝の子――兵庫はちょうど何処からか帰って来たところだった。以前とすこしも変らない小柳生城の坂門の外で、今、馬を降りた宗矩のすがたを見ると、驚いて駈寄って来た。