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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

そしてドレゴと水戸の両人は、船体から約二十米以内に近づくことを許されなかった。もしそれを犯そうとすると、熱気のために気が遠くなるばかりであった。

「残念だなあ。一番乗りはしたけれど……」

とドレゴは口惜しそうな声を出した。

「まあ我慢するさ。それより早いところ第一報を出そうではないか」

水戸はそういって、リュックの中から携帯用の超短波送受信機を取出して組立始めた。ドレゴはぎょッとした。そうだ、自分は非常に大きい不用意をやってのけたのであった。新聞記者でありながら、この山頂からの通信をどうするかを考えなかったのだ。いつもの調子で町から容易に通信が出来るように思っていた。そこへ行くと水戸は咄嗟の場合にも用意周到だ。やっぱり、よかった。協力者として水戸を誘ってよかったのだ。もしドレゴ自身ひとりで出懸けて来ようものなら、通信機を持たぬ彼は今頃地団太踏んで口惜涙に暮れていたことであろう。

「あの汽船の名前だけでも知りたいものだ。ドレゴ君、見て来てくれないか」

水戸は通信機の組立の手を休めないで、そういった。

「よし、見て来よう」

「それからこの事件の名称だ。ドレゴ君は名誉あるこの事件の発見者だから、君がいい名称を択ぶんだよ」