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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

稀代の怪事

ううん違う二匹だ。悪魔め、ちょっと僕が油断している間に、九百九十……九百九十五匹かな、九十四匹かな……ううい」

後はガロ爺やの背中でむにゃむにゃいっていたが、それもやがて聞こえなくなった。爺やは水戸に丁寧に礼を述べて玄関口を閉め、それからアルコール漬の若旦那さまを担いで馬蹄形に曲った階段をのぼり、そして彼の寝台の上にまで届けたのであった。

ドレゴは寝台の上に大の字になって倒れると、またしても声を出して「キ、君、悪魔集団は僕たちの隙を窺っているんだぞ。油断は……」

あとは口の中、そしてガロ爺やが戸口を閉めて部屋を出て行くときには、若旦那さまの独白は大きな鼾に変わっていた。

稀代の怪事

そのままで何事もなかったなら、おそらくドレゴは昼前頃までぐっすりと眠り込んだことであろう。

ところがドレゴは思い懸けない出来事のため、それから一時間ばかり後に、一度目をさまさなければならなかった。

泥のように熟睡していたドレゴをほんの数秒の間なりとも目を覚まさせ、むっくり寝台の上に起上らせるという力を発揮したものは、相当のものであった。ドレゴは愕いて目をさましたのだ、そして重い瞼を懸命に開いて、何か大きな音のした方を見廻したのであった。