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ちきゅうはっきょうじけん
地球発狂事件
海野 十三
「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页
発信者は誰
この可能性は十分にあるものと思われる。そのときに至って、わが地球兵団は果して宇宙の強敵に対して必ず勝利を収めるだけの自信があるだろうか。またそれまでにわれらは十分の宇宙戦争の準備をすることが出来るであろうか。もし勝利に自信がなく、準備も間に合わないとすれば、今日大西洋海底に蟠居する彼等の前衛集団を攻撃することによって、無用不利の刺戟を彼等の本国に与えることは策の上々たるものではないというものであった。
このへんから会議は、所謂小田原評定的な調子を露呈するに至った。無理もないことである。この連立方程式の答を出すには、方程式の数が足りないのである。いやそのいくつかの方程式の大部分が欠除しているのであったから……。
発信者は誰
誰も彼も憂欝に閉ざされていた。
真綿が首を締めるように、日一日と深刻さが加わって来る。
気の早いものは、二十億の地球人類の死屍が累々として、地球全土を蔽っている光景を想像して、自殺の用意に取懸った。
受信機は引張凧で、高声器の前にはいつも黒山のような人だかりがあった。新聞はいつも羽根が生えて飛ぶように売れた。新聞社の収入は一躍平時の三倍にあがった。