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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

花束の待人

「なるほど。それはいい考えだ、覚えておこう」

ホーテンスは水戸の説に興味を覚えた、しかし真逆そのことが間もなく本当に水中に於て試されようとは神ならぬ身の知る由もなかった。そうと感づいていたら彼はもっと多くのことを水戸に質問したであろう。

午前十一時、遂に潜水が開始された。

サンキス号の左舷には十本の鋼鉄ロープが吊下げられた。その先は海面にたれていたが、それぞれ一体の潜水服に潜水兜をつけたグロテスクな人間をぶら下げていた。

まずワーナー博士が、一番舳に近いロープによって、海面に沈んでいった。そのあとから夥しい泡が湧き上って、甲板から見守っている人々に、何か息苦しさに似た感じを与えた。

第二番、第三番と順に進んで第九番のホーテンス、第十番の水戸が海面下に姿を消したのはそれから二十分後のことだった。甲板の連絡班長のいうところによれば、ワーナー博士外三名は、早くも海底に着き、ロープから離れて海底歩行を始めたそうである。水深百二十メートル、果たして博士一行は如何なるものを、暗黒の大海底において発見するであろうか。

花束の待人

この事件が起こって以来ずっと一緒に手をとって来た親友水戸記者を大西洋に置去り、自分ひとりアイスランドへ帰っていくドレゴの気持ちは、さすがに晴れなかった。