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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

深夜の大西洋

「取引をなさってはどうなの。いい条件らしいじゃありませんか」

「だって、こっちからだして提供するものはありゃしないからね。僕はワーナー調査団について大西洋まで行くには行ったが、そのまま引返して来たんだからね、或る婦人の策謀にうまうまのせられて……」

「まあ、ドレゴさん」

「要するに、僕はケノフスキーを満足させるほどの物を持っていないのだ。お気の毒さまだがねえ」

「新聞を片端から切抜いて送ったらどう」

「ケノフスキーを怒らせるばかりだ」

「だって、あなたのような方に、それ以上を求めるのは酷だわ」

「はいはい、よくご承知で……。水戸君とは違いましてね」

「あら、そんな意味でいったんじゃないわ。本当に無理なんですもの」

「まあいいや。少し考えることにしよう。それじゃエミリー夫人。また会うまで」

ドレゴは口笛を吹きながら帰っていった。

深夜の大西洋

その翌日から、ドレゴは何と心を決めたものか、港へ出ては船主関係の人々を探し出しては、すばらしいヤクーツク造船所製の砕氷船を買わないかと、外交員商売を始めた。

「砕氷船なんか買ったって、使うことはありゃしないよ」

と相手がいおうものなら、ドレゴは待ってましたという風に唇を甜めて、