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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

第一報飛ぶ

そしてその結果、不図一つの驚異的な名称を思付いたのである。

「巨船ゼムリヤ号発狂事件」

この名称では少々奇抜すぎるかなと思った。しかし後々になってこの事件の内容がだんだん明白になるにつれ、最初にドレゴが考えたこの奇抜過ぎる事件の名称も、案外この事件に相応しい魅力を備えてはいないことに気がつくに至った。それは後の話として、彼ドレゴが何故このような名をつけたかというと、海を渡るべき巨船が山の上の航行を企てたところは、このゼムリヤ号が発狂したものとしか考えられないという着想から来ていた。嘴の青いドレゴ記者にしてはまことに大出来であったといえる。

それはそれとして、本当に巨船ゼムリヤ号は発狂したのであろうか。発狂したとしたら、何故発狂したのか。そして何故にこんな雪山の上に巨体を横たえるようなことになったのであろうか。不思議である。奇抜すぎる。本当のことと思われない。しかしこれは飽くまで事実であった。ではこの事実をどう説き明かすか。それはゼムリヤ号の煙が、もう少し治るのを待たねばならない。

第一報飛ぶ

若きハリ・ドレゴは、折角こうして怪奇きわまるゼムリヤ号の狂態現場に駆付けながら、これ以上手をつけ得ないことをたいへん口惜しがった。