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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

「で、結論はどうだというんだ」

ドレゴは、せきこんで聞いた。

「……ホーテンスは、さすがに烱眼で、いい狙いをつけているよ。彼は、燃えるソ連船ゼムリヤ号の焔の中に飛びこむ代りに、七つの海の中からその前日までのゼムリヤ号の消息を拾いあげようと努力している」

「あのゼムリヤ号はソ連船かい」

「そうだ」

「なるほど、僕はそういう大切なことを調べないでいたわけだ。そしてホーテンスは、ゼムリヤ号について目的を達したかね」

「残念ながら、今朝までのところはね」

と水戸は応えた。それを聞いていたドレゴは、一段と顔の色を輝かすと水戸の手を取って引っ立てた。

「おい水戸、これからホーテンスに会おうじゃないか。君は僕を紹介するのだ」

だが、水戸は首を左右にふった。

「ホーテンスは、今この山にいない」

「えっ、ここにいない。では何処にいる……」

「あそこだよ」

水戸は下界を指した。それは彼らの古巣であるオルタの町だった。町は、ここから見ると、フライパンの上にそっくり載りそうな程に小さく愛らしく見えた。

まもなく焦るドレゴを連れて、水戸はホーテンスの跡を追った。そしてかれは、ホーテンスとドレゴとを、自分の部屋に招待して、晩餐会を催すことにした。