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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

しかしこれは全然無意味だ、何故ならヘルナー山頂には確かにそうした事実が厳然として存在しているのだから。その三は、奇跡説ないしは怪談説である。つまり、“超自然現象”とするものである。これは余論もあろうがともかくも一説をなしている。しかし然らば如何にしてこの奇跡ないしは怪談が生じたかという説明がつかないかぎり、事件の解答として満足すべきものとはならない。ドレゴの感覚から摘出した“ゼムリヤ号発狂事件”や、水戸の唱えている“地球発狂事件”は共にこの範疇に入るものといってよろしかろう。最後の第四説として“原子爆弾説”がある。

この説によると、その事件の当時、某国が秘密裡に某海域においての実験を行ったのであるが、ゼムリヤ号は不幸にしてその実験現場附近を航行していた。そのために原子爆弾の巨大なる爆風に吹き飛ばされた結果、あのようなことになったのであろうというのである。この説は、四種類の答案中最も現実性を帯びているために、日と共に有力となっていった。と同時に、世界に第二の原子爆弾製造国が現われたのかも知れないという点で、原子爆弾の偉力に常に戦慄を禁じ得ない世界人類に別個の刺激を与える結果となった。