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ちきゅうはっきょうじけん
地球発狂事件
海野 十三
「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页
むしろ……そうだ、むしろ君がたの意見を聞いて参考にしたいくらいだ」
博士は、あべこべに問題をホーテンスの方へ押しやった。
ホーテンスは、うむと呻った。それから彼は数秒間咽喉を鳴らしていたが、やっと決心を固めたという風で、口を開いた。
「僕の感じたところでは、さっきの駆逐艦爆発事件はゼムリヤ号事件よりもっと楽に解ける事件じゃないですか。僕の見たところで、まさか、さっきの事件は明らかに原子爆弾の攻撃によるものだと思いますよ。艦体が海面からもちあげられ、そして火焔に包まれ、それから煙のようになって四散し、天へ昇っていきましたからね。だからあれは海中で原子爆弾の攻撃を食ったのに違いありませんよ。ゼムリヤ号の場合はそれとは違うと思われる。だから両者は別物ですよ」
ホーテンスはここで言葉を停めて、博士の顔色を窺った。博士はちょっと眉の間に皺をこしらえただけで、何ともいわなかった。
「僕は同じ原因から起こったことだと思いますがね」
水戸記者の声だった。ホーテンスはふり返って水戸を認めると、笑いながらもっと前へ出て喋れと合図をした。水戸記者はホーテンスと反対の意見だが、何を考えているのであろうか。