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ちきゅうはっきょうじけん

地球発狂事件

海野 十三

「協力新聞」1945(昭和20)年9月1日~1946(昭和21)年(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 页

青空文庫

「そこが、その微妙なところで……実はこういう話があるんだが……」

その先をいいかけたとき、飛行場のサービス嬢が、旅客機の修理が終ってすぐ出発しますから、すぐ乗っていただきますと觸れて来たので、ケノフスキーは周章ててドレゴの方へ手を振って、飛行機の方へ駆け出した。

「ケノフスキーさん。貴方は何の用でどこへ行くんですか」

ケノフスキーは答えるかわりに手を振った。

「いつ帰って来ますか」

「後で詳しく手紙にして送る。さよなら。さよなら」

彼は軽金属の階段を登り切って、旅客機の中へ姿を消した。もうどうしようもなかった。

飛行機の出発を見送ってから、ドレゴは柵の外に乗り捨ててあった自家用車へ戻ってきた。

「どう、うまくいって」

もうどこかへ行ってしまったかと思ったエミリーが、辛抱強く運転席の隣に座って待っていた。

「エミリー、ありがとう。かなりの収穫があったよ、が、時間が切れて話は胴中から尻方の方だけが残った恰好だ」

「ぼんやりしているのね、あの人だったら抜け目なく頭まで手にいれるんだけれど」

「水戸のことをいっているんだね」

とドレゴは苦笑しながら、車をスタートさせた。