轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
京子だけは、服装も地味な銘仙か何かで、年輩も四十を越していたし、その上容貌は醜婦と云っても差支なかった。額が広過ぎる程広くて、眉が薄く、平べったい鼻の下に、上唇が少しめくれ上って兎唇になっていた。それを、青白くて上品な顔色と、知識のひらめきとが救ってはいたけれど。
「マア、先生、何をそんなに見つめていらっしゃるの」
珠子がふとそれに気附いて声をかけた。
その時は、もう食事が終って、コーヒーが運ばれていたのだが、京子はそれを取ろうともせず、なぜか異様に緊張した表情で、食堂の向うの隅を、じっと見つめていた。
その隅には、二人の中年の紳士が向合っていて、その一人の大きな青眼鏡をかけた口髭のある男の顔が、こちらからは真正面に見えるのだ。外にも五組程の客があったけれど、それらは皆外国人の男女であった。
「先生、あの人を知っているんですか」
相川青年も妹の加勢をして訊ねた。
「イイエ、そうではないんですけれど、ちょっと黙っていらっしゃいね」
家庭教師は、目はその方を見つづけたまま、手真似をして二人を黙らせたが、帯の間から金色をした小型のシャープ鉛筆を取出し、そこにあったメニュの裏へ、何か妙な片仮名を書き始めた。