轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
そう云われると、なる程彼等は、如何にも人目をはばかる様に、顔を寄せて囁き合っていたに違いない。外の客からはずっと離れた隅っこであったし、外人達はてんでに大声で話し合っていたので、仮令内密話でなくとも、彼等の会話を他人に聞かれる気遣いはなかったのだが、それを更らにヒソヒソ声になって囁き合っていたのは、余程秘密の相談であったとは想像出来る。だが、……
「では、あの二人がそんな恐ろしい相談をしていたとおっしゃるのですか」
相川青年が思わず訊ねる。
「エエ、そうなのです。私はそれをすっかり聞いたのです」
「聞いたのですって? あの遠方の囁き声を、それに、外の人達がこんなにやかましく云っているのに。いくら先生の耳がいいからと云って、そんな馬鹿な……」
やっぱりこの人は頭がどうかしているのだ、幻聴に違いない。それをさも誠しやかに考えているのは、気でも狂う前兆なのではないかと、兄妹は寧ろそれが恐ろしく感じられた。
「ここに書いた通り、あの青眼鏡の男が喋ったのです」と京子はメニュを指さして、「その前の言葉は、ここへ書くひまがなかったけれど、実に恐ろしい事なのです。先ず最初、あの男は(いよいよやってしまうのだ)と云いました。