轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
守のことも心配ではあるけれど、まだ誘拐されたと極った訳ではなし、若しそうだったとしても、その方の捜索は、警察で十分手を尽してくれるだろう。警視庁の人が見えたら、よく事情を話して依頼する様にと、殿村夫人に云いつけて置いたから、うまくやってくれるに違いない。
いくら考えて見た所で、もうこれ以上何の方法もないのだ。あとは運命の神様に任せて落ちついているがいい。殊に味方には大探偵三笠龍介氏がついているではないか。
操一氏はそんなことを考えながら、気が落ちついて来るに随って、知らず識らずに、袂のシガレット・ケースをさぐっていたが、どこへ置き忘れたのか、袂には左右とも、それらしいものはなかった。
置き忘れたのではない。そのシガレット・ケースは、さい前自動車へ乗る時に、偽の三笠探偵が素早く袂から抜き取って、自分のポケットへ納めてしまったのだが、まさか探偵がスリに早変りをしようなどと、誰が気づき得たであろう。
「相川さん、煙草なら、これを一つやって見て下さらんか。わしは煙草丈けは贅沢をしておりますのじゃ。サア、御遠慮なく」
偽探偵は目早くそれと見て取って、ポケットから用意の葉巻を出して、相川氏に勧めた。