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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 页
故石舟斎と、宝蔵院の初代胤栄とは、生前親しい間がらであった。
石舟斎の壮年時代に、真に悟道の眼をひらかせてくれた恩人は、上泉伊勢守であったが、その伊勢守を、初めて柳生ノ庄へ連れて来て紹介わせた者は、胤栄であったのである。
――だがその胤栄も、今は故人になって、二代胤舜が、師法をうけ、宝蔵院流の槍なるものは、その後愈※(二の字点、1-2-22)、武道興隆の時潮に乗って、時代の一角に、一つの大淵叢をなしているのだった。
「兵庫どのが、お見えにならぬが、胤舜が参ったこと、お伝えくだされたかの」
今日しも、書院の客座に、二人の法弟を従えて、先刻から話している者が――その宝蔵院の二世権律師胤舜で、その応接に、下座にあるのが、柳生四高弟の一人、木村助九郎なのである。
故人との関係から、よくここへは訪れるのである。それも、忌日や法事などでなく、どうも兵庫をつかまえて、兵法を談じたいのが目的らしいのだ。そしてあわよくば、故人石舟斎が、
(叔父の但馬も及ばず、祖父のわれにも優れたるやつ)
と、眼の中へ入れても痛くないほど鍾愛して、上泉伊勢守から自身が受けた新陰の相伝、三巻の奥旨、一巻の絵目録など、すべてこれを生前に授けたと聴く、故人の孫の柳生兵庫に対し胤舜が自ら奉じるところの槍をもって、一手の試合を望んでいるらしい気ぶりも