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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

吉川英治『宮本武蔵(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 页

青空文庫

あやつが、悲鳴を揚げぬうち、猿ぐつわを噛ませて下ノ庄の屋敷まで、はよう引っ担いで行ってくだされ」

お杉ばばは、お通を指さして、断獄を命じる閻王のようにいった。

他の四、五名は、みな郷士ふうの男であり、ばばの一族らしかった。ばばの一言に、おうっと高く答えると、餌を争う、狼のように、お通の身へ跳びかかり、型のごとく鞠縛りにくくって、

「――近道を」

「それっ」

とばかり、走り出したのであった。

お杉ばばは、にやりと見送ったまま、一足後に残っていた。万兵衛へ約束の駄賃を与えるためであろう、帯のあいだに、用意してきたかねを与えて、

「よう連れ出したのう。巧く行くやら、どうやらと案じていたが」

と、賞め称え、

「他言しやるな」

と、釘をさした。

万兵衛は、貰った金を改めて、これも満足顔に、

「なあに、わしの手功じゃございません。御老婆様のはかりごとが、巧く図にあたったのでございますよ。……それと、貴女様が、御郷里に帰っているとは、お通めも、夢にも知らずにいたもんですから……」

「小気味のよかったことわいな。見たか、今のお通の愕き様を」

「余りのことに、逃げることもできず、竦んじまった様子でしたな。