轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
06 第六分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页
挙止一語半句、みだりにも笑わず、かりそめに戯れない。
だから時々、信長としては、甚だじれったいものを覚えるにちがいない。人間の味とか、本心の光とかいうものの乏しい嘘の中に住んでいる自分に、まず嫌気がさして来るらしい。いきなり客をまえに、大あくびと共に、伸びなどして、
(ああ、明けても暮れても、木像と話しているというものは、退屈だのう。とはいえ、木像自身も、身をもて余すじゃろう。衣冠束帯、脱ごうにも脱げんし――)
こんなことをいったりする。
何か気にくわないと、ひとのことをよく木像木像という。安土の殿楼に人は多いが、その中にも彼はたえず追求しているのだった。――真実な生活味と、人間の感じがする人間とを。
今宵しも、彼の求めている気もちに、いつも、ぴったりする男がひょことおとずれて来たのである。
しかも、明朝登城という約束を、信長のことばでいえば、気も軽々と、儀容や形式にこだわらず、不意に今夜のうち来てしまったという――まことに埒外な男である。
「やあ、久しや、筑前か」
袴の紐もまだ結びきれぬまに、彼はもう大股に広間へ来ていた。そしてそこにただひとり坐っていた秀吉のすがたを見るや否やの声であった。