轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あんこくせい

暗黒星

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页

青空文庫

突然、書生の斎藤がささやくように言って、一郎の腕を取って、庭に面した窓のそばへつれて行った。

窓のそとにはまっ暗に庭樹が茂っていた。常夜燈の淡い光が、立木の茂みをボンヤリと照らし出していた。

書生の眼は、それらの木々の枝を越して、屋敷を囲む煉瓦塀の上に注がれているように見えた。

その部分は樹木が少しまばらになって、古い煉瓦塀の一部が、黒い堤かなんかのように見えすいていた。

一郎が書生の眼を追って、そこを注視すると、煉瓦塀の頂上に、何か黒い影がうごめいていた。闇夜だったので、空も暗く、そのものは闇の中から闇が抜け出したような感じで動いていた。

眼が慣れるにしたがって、その黒いものが人間の形をしていることがわかった。常夜燈の光にも遠いので、非常にボンヤリした姿ではあったが、決して人間以外の生きものではなかった。

そのものは、まるで綱渡りでもするように、からだで調子を取りながら、高い塀の頂上を、直立して右から左へと、ゆっくりゆっくり歩いていた。

白いはずの顔もまっ黒であった。覆面をしているのだ。着物の裾が広くダブダブして、足を隠しているように見えた。