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うんせききこう
柳宗悦 民藝紀行
柳 宗悦
柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页
多々良の雑器
多々良(たたろう)のことを私が初めて耳にしたのは、昭和二十年頃、黒牟田の窯を訪ねた時、その村の円楽寺で一個の植木鉢を見たその時でした。それは張付紋の品で大変心を惹いたので、黒牟田のものかと尋ねましたら、多々良窯のものだという返事を受けました。そうして多々良はここから一里ほど奥にある窯だという話でした。残念にもその折はもう夕方で、多々良まで足をのばす事は出来ませんでした。
爾来多々良のことをもっと知りたく、文献等を注意しましたが、ほとんど現われてきませんでした。おそらくこの窯は、数多くある北九州の窯場のうち、今まで最も忘れられている窯場の一つだと思われます。もっとも古窯蹟のあった場所としては知られているようですが現在もなお焼き続けていることについては、誰も記してはおりません。しかしこの窯のことが私の心を異常に引くようになったのは、もう八、九年も前に村岡景夫君と長崎を旅した時、とある骨董店のうす暗い一隅に大甕を見出した時からです。それは極めて大きな作で、見たこともない十字形の紋様が張り付けてあって、その上からうすく流釉がかけてあり、生焼けでぼんやりそれが見えていました。