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うんせききこう
柳宗悦 民藝紀行
柳 宗悦
柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页
益子の絵土瓶
一
一
栃木県益子の窯場で長らく土瓶の絵附をしていた皆川マスというお婆さんのことは、既に多くの方々も知ってお出での事と思います。その山水絵や枝梅の土瓶は、焼物に眼を注ぐほどの人なら、おそらく誰でも見慣れているものでありましょう。誠にありふれた品物でありますが、それを対象にこの一文を草したく思いますのは、実はそれが美に関する幾多の根本問題を孕んでいると思われるからであります。それに多くの方々によく知られている品物であるだけに、語るのに都合のよい仲立であると思われます。お婆さんの齢はもう八旬を越えましたので、その筆の一生も終りに近づきつつあることと思われます。それ故この一文がいくらかでも、その生涯を紀念するものであることを希いつつ、ここに筆を執る次第であります。
「皆川マス女の絵」のキャプション付きの図
皆川マス女の絵
私は別に益子土瓶の歴史や手法や、その他のことをここに詳しく書こうとするのではありません。ただ簡単に次のことを、予備知識として持って頂くだけで差し当りは充分だと思われます。
一、その土瓶に見られる絵附は、日本の伝統的な図柄の一つであります。山水の絵はもと江州の信楽に発したものでありましょうが、益子では明治の半頃から盛に描かれるに至りました。