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うんせききこう

柳宗悦 民藝紀行

柳 宗悦

柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页

青空文庫

四

黒物はどうしても薩摩焼の正系である。

四

窯は日本の南端に近い暖国にある。鹿児島から西北六里ばかり、伊集院町には一里である。今は薩州日置郡に属する。苗代川はその陶郷の名である。高麗人の住家としてその歴史は永い。朝鮮人を凡て高麗人と呼ぶのは昔からのならわしである。今も半数は鮮姓を承ぎ、沈、崔、鄭、朴、金、林、何、卞等昔のままである。明治までは特殊な部落であって雑婚を堅く封じられた。それがため幸いにも純粋な血が保たれたのである。この事は品物の血をも清くしたと私は思う。村は挙げて鮮祖檀君を今も祠る。豊公の戦役この方、幾百の陶工が海を越え、土を追って居を卜したが、その中でこの苗代川ほど歴史を固く守った所はなくまたここほど高麗人の今も集団する土地はない。今日のように小綺麗な村通りや、門構えの家並が揃うまでには、幾代かの陶工たちの力を協せた苦難の歴史があろう。遠く異郷に相寄って住む彼らには、互を守り合う生活の固い組織があったであろう。おそらく藩公の厚い加護よりも、相互補助がもっと厚く苗代川の寿命を守ったと思える。御用窯としての苗代川は白物を育てたであろうが、少くとも黒物を続け得たのは協存の賜物と思える。