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うんせききこう

柳宗悦 民藝紀行

柳 宗悦

柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页

青空文庫

三

三

薄い皮でしかも強靱であるという性質は早くから、曲物の留めに利用せられた。曲物のある所に桜皮のない場合はない。それはいつも板を縫う糸の役割を務めた。だから縫い方で一種の立派な模様を出した。この仕事は日本の至る所で見られる。北は奥羽から南は九州四国にまで及ぶ。曲物と桜皮とはつきものである。

つづいてこの皮が適応されたのは、鉈鞘であった。想うに鞘を締める必要から起ったのであろう。ただに巻きつけたのみならず、一枚の皮で被い、つなぎ目を組み合せる手法へと進んだ。これはアイヌの白樺細工にも見られるやり方である。互に歯紋をなして噛み合うのである。これが一種の模様になって装飾の役を務める。

だがこの樺細工が真に発達したのは印籠と胴乱とを作るようになって以後である。そうしてこれらの品こそは、角館の技として名を成すに至り、樺細工といえば角館を想い起すまでに至ったのである。元来印籠は印の入物であるが、携帯用の薬入れとしても重宝がられた。胴乱もほぼ同じく、印、薬などの入物で腰に下げて携うものであってしばしば両者にけじめはない。しかし胴乱の方は煙草具となるに及んで形が大きくなり、かつ印籠のように二重ね三重ねのものがない。