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うんせききこう
柳宗悦 民藝紀行
柳 宗悦
柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页
模様は「山水」のほか「四君子」とか「籬に牡丹」とか、おそらく二十種近くありましょうが、中で特に持映されましたのは山水絵でありました。
一、いずれも代々伝ってきた非個人的な図柄で、作者の名を記したものは見当りません。無落款がこの種の焼物の本来の性情であります。もとより安土瓶でありまして、主に関東一帯の台所で用いられたごく普通の雑器であります。
一、明治二、三十年頃は生産量の絶頂を示しました。当時は絵附に従事する者も十余人あったと申しますが、皆川マス女はその一人で、今日まで活き残っているのはもう彼女だけになりました。それにこの絵土瓶は昔ほどの需要が今はなく、近年急に生産が衰えて来ました。彼女は何でも十歳頃から描くことを教わり、爾来引きつづいて仕事をし、凡そ六、七十年間も土瓶に絵附をしてきたわけであります。
一、達者な時で、かつ景気の好い頃は、日に千個も描いたといわれ、五百個ぐらい描くのは普通だったと申します。如何に早くまた夥しく描かれたかが分ります。
一、マス女は学問はなく、文字も読めず、また富もない普通の絵附師で、受ける賃銀も当時のならわしとしてごく低いものでありました。