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うんせききこう

柳宗悦 民藝紀行

柳 宗悦

柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页

青空文庫

今でもそうだが、多くの者が椀だとか片口だとか木皿だとかを担って市日へと出かけてゆく。浄法寺が中心で月始めの毎二日と日が定まっていて市日が開かれる。商人がここに集って品物を買ってゆくのである。地元の陸中北部にゆき渡りはするが、しばしば遠く北海道へも持ち運ばれた。その歴史も今となっては古い。

南部椀と呼んで珍重される椀は、おお方このわたりの産と見ていい。昔から随分と出たと思える。一番いい証拠は荒沢村字浅沢小字石神にある斎藤善助氏の家で、間口十八間とかいう宏大な建物が残っている。文政三年に建ったのだという。この家が主だって漆器を作り出したことはこの界隈では誰も知っている。今でも漆の仕事部屋が続いている。しかしその近所近在に漆塗を業とする者が沢山いる。塗りばかりではない。挽物師も一緒である。それどころではない。この辺では漆の木が沢山植えてある。山へ行けば掻き落とした幹をしばしば見出すであろう。山奥の仕事であるから、そうして多くは雑器を作るのであるから、あの輪島のようなまたは会津のような華かな名は伝っていない。もっと田舎くさい仕事をする。だが私はこんなにも多くの望を抱かせられた漆場はない。