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うんせききこう
柳宗悦 民藝紀行
柳 宗悦
柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页
それに北国の人々は保守的であるから在来の習慣を破ることをなかなかしない。今もなお陸中では漆器を用いる習慣が非常に固く残っている。それに都会とは違って田舎では婚礼の時、葬式の時、棟上の時等、村中の人が寄り合って、大勢で食事をとる習慣がある。だから二十人前三十人前の食器が揃えてなければ不自由である。これを有たないことは一種の恥じなのである。少し財産が出来れば土蔵を建て、まずそこに納めるのが漆器なのである。特にこの国は漆器を用いる地方として、日本一ではないかと思われる。実にこういう事情が衣川の小さな村を多忙にしているのである。人々は商人から買うよりも直接に注文する方が一層安くてかつ手堅いものを得られるのである。村の人々も旅を続けて注文を取って歩き廻る。かくして個人からの注文のみで仕事が続くのである。「われながら、よくもこういう注文が長年続くものです」と村の人も述懐している位である。
これは手工藝の仕事に見られる実に珍らしい現象といえよう。ごく昔は自然にこういう形態で仕事が為されたであろうが、商業主義の旺盛になった近代では、ほとんどあり得ないことといっていい。