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うんせききこう
柳宗悦 民藝紀行
柳 宗悦
柳宗悦『柳宗悦 民藝紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雲石紀行、沖縄の思い出、思い出す職人、樺細工の道、北九州の窯、現在の日本民窯、小鹿田窯への懸念、全羅紀行、台湾の民芸について、多々良の雑器、地方の民芸、苗代川の黒物、日田の皿山、北支の民芸(放送講演)、益子の絵土瓶、蓑のこと、野州の石屋根、陸中雑記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,050 字 · 276 页
安ものの薄手のへなへなな品でなくば売れはしない。正直な仕事はここでも貧乏を招く。だが正しい品物はいつか光る。また何かに甦ろう。船箪笥はもう過去の品でいい。だが金具の美しさや、その手法の正しさは姿をかえて何かに活かせる。活かさなければ勿体ないではないか。この真理を粗末にしてはすまない。だから私たちは世に敗れた無銘の工人たちに代って、その仕事を品物で文字で語ってゆこう。人は逝くとも世は変るとも美しさは活きる。私は老いたその職人のために、更にまた正しい工藝の名誉のために、これだけのことを記して置きたい。
爺さんよ、また逢えたら逢いたいものだ。そうして次にはもっと技術の工程や、紋様の取り方や、仕事の性質や草々のことに付て聞かせてほしい。永年の経験は宝なのだ。達者でいてくれ、吾々二人とも同じようにそう望んでいる。(昭和十年十一月六日夜)
追記、右の覚書を記しておいてから三年ほどの後、再び酒田を訪うたが、老人はもうこの世の人ではなかった。おそらく老人の傑作だと思える蔵戸の大錠前は、今民藝館の壁に掛っている。その雄大な仕事を見るにつけ、この名も知れない作者のことを思い起すであろう。