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きゅうこんさんじゅうし
求婚三銃士
佐々木 邦
「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页
「少しは宜かろう」
「お勧めになってはいけません」
「よし/\」
と酒のことだった。しかし閣下はナカ/\少しのようでなかった。食事が始まると間もなく、
「大谷さんの御主人さまは何ういう御趣味でいらっしゃいますか?」
と橋本夫人が話題を持ち出した。
「以前は謡曲をやっていましたが、昨今はゴルフが主でございます」
「あれはこの頃大流行でございますね。私の弟もやっております。御主人さまは余程お上手でいらっしゃいましょう」
「いゝえ、本店の重役さん達に勧められまして、つい近頃始めたばかりですから、好い加減なものでございましょう。お附き合いでございますから」
「お謡いの方はお古いんでいらっしゃいますか?」
「はあ。これはもう長いことやっています。しかし時々半年ぐらい間が切れますから、一向上達は致しません」
「主人も若い頃勧められて始めたことがありますが、不器用な性分ですから、芸事は一切向かないようでございます」
「何う致しまして」
「御酒の方は如何でいらっしゃいますか?」
「ほんのお附き合いでございます」
「結構でございますね。主人は御酒を戴いて管を巻く外に能がありません」
「いや、これでも歌を作る。