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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

と言った。

「はあ」

「私のところは弟子の方が皆豪いんです。今日は溝淵閣下がお見えになります」

「陸軍大将ですか?」

「はあ」

「大将閣下なら郷里の先輩です」

と瀬戸君は興味を催した。会ったことはないが、郷党の出世頭だ。

「それから松村閣下と橋本さん。これは何方も海軍です。軍人の古手に限りますよ。金がないから威張りません。皆先方から足を運んで来てくれます」

「橋本さんと仰有ると閣下でしょう? 矢っ張り」

「いや、大佐です。兄さんはお二人とも閣下ですけれど、愚弟の方です」

「兄さんは狸穴にいらっしゃるんじゃありませんか?」

「それまでは存じません」

と諸星さんは簡単に打ち切ったが、瀬戸君はもう占めたと思った。

間もなく溝淵閣下と松村閣下と橋本大佐が揃った。瀬戸君は紹介して貰った。溝淵閣下と同郷だということを諸星さんが申添えた。

「矢張り宿毛ですか?」

「はあ」

「宿毛の瀬戸君というと瀬戸軍平さんのお身寄りじゃありませんか?」

「孫です、僕は」

「これは奇遇だ。私は軍平先生の弟子ですよ。郷里の小学校でお教えを受けました」

「はゝあ」

「四五年前に帰った時、一寸お目にかゝりましたが、以来お達者でしょうな?」