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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

「いらっしゃい」

「今晩は。又お邪魔に上りました」

「僕、待っていたんです」

「試験はもうお済みですか?」

「はあ」

「お休みですね、それじゃ」

「後三日です。僕の学校は試験が済んでから又授業があるから厄介です」

「成績は分りましたか?」

「三番でした」

と弼君は得意だった。中学校の三年生だ。

「素敵々々」

「二番上りました」

「勉強家は違います」

「英語はあなたに質問したところが出たんです」

「はゝあ」

「吉川さんは駄目ですね」

「何故ですか?」

「僕に嘘を教えました。何うも変だと思って、先生に訊いて見たら、間違っているんです。矢っ張り瀬戸さんの方が出来ます」

「あれは先生を勤めているくらいですから」

「あなたも出来ます。お父さんが誰が一番出来るかとお訊きになりました。もう先ですけれど」

「何とお答えになりましたか?」

「一番は瀬戸さん、二番はあなた、吉川さんは落第ですって」

「吉川君は何うして落第ですか?」

と安達君は覚えず椅子から乗り出し気味になった。

「誤魔化すんです。出来なくても、何とかこじつけるんです。変だと思って後から先生に訊いて見ると、大抵間違っています」

「成程」

「あなたのように、こゝは何うも分りませんと仰有いません」