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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

果して五十七八と五十四五の争いが続いたけれど、

「五十七八にしても、兎に角、若い頃家で勉強して御出世をなすった長倉さんに仲人をして戴けば、幸先が好いと申すものでございましょう」

「五十三にしても四にしても、申分ない。お前は強情で困る」

というような事で、長倉さんを認めることには全く一致した。

「富士子は長倉さん、よく存じ上げているでしょう?」

「さあ」

「尤もこの頃はいつにもお見えになりませんから」

「お髭を落して来て、お父さまに叱られた方じゃございません?」

「然うよ」

「あの方なら、存じ上げています。お父さまがあんなことを申上げたから、もうお見えにならないんじゃございませんでしょうか?」

「そんな次第でもありますまい。お父さまのむずかしいことは昔からよく御承知ですから」

「何うしたんですか?」

と瀬戸君は富士子さんを見返った。閣下と長倉さんの間に経緯があっては困る。

「お髭が白くなったものですから、若返りの為めに剃り落したんでございましょう。しかし然ういうことは宜しくないって、お父さまからお小言を戴きましたの」

「はゝあ」

「瀬戸君、これは君にも参考になることだから、序に話して置く。