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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

「いや、卒業後はお互に忙しいものですから、滅多に会いません」

「実は他にもお話がありますけれど、吉川さんの方が先口ですから、お待ち申上げているんでございます。あなた」

「うむ」

「瀬戸さんから吉川さんに直接御意向を伺って戴く次第には参りませんでしょうか?」

「然うだね。余り長くなる」

と長倉さんも持て余しているのだった。

「僕、仲人を差置いては失礼ですから、非公式になら、吉川君に会って意向を確めるのはお安い御用です」

「然うして戴きましょうか? 余り誠意のない話ですから、もう此方から断っても宜いんですけれど、縁というものは何ういうところにあるものか知れません。今日初めてお目にかゝる瀬戸君が偶然吉川君の親友だというのも何か特別の意味があるのではないかと思われます」

「僕も驚いているんです。実は四五日前に友達が吉川君の縁談の評判をしていました。うっかり聞いていましたから、別口だと悪いと思って、申後れましたが、お宅のお話に相違ありません」

「はゝあ。何ういう評判でしたか?」

「吉川君はお嬢さんのお写真をポケットに入れて歩いているそうです」

「別口じゃないでしょうか?」

「いゝえ、美津子のよ。