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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

実は三人三つ巴

何うぞ御ゆっくり」

と奥さんは手際よく逃げ去った。未だ若くて美しい積りでいるから、自然若いものと対等になってしまう。有閑マダムの称も、その辺に胚胎している。

実は三人三つ巴

安達君は結局、瀬戸君の誘い出すところとなった。しかし吉川君の家へでなく、小宮君の店へだった。個人商店だから、日曜も休まないと聞いた。尚お家が店だから、忙しくない時は普段だって休んでいるのも同じことだと言っていた。

「電話をかけて置こうか?」

「いや奇襲の方が面白い」

とあって、直ぐに出かけたが、失望が二人を待っていた。許嫁のモダン・ボーイと、モダン・ガールがこんな明朗な小春日和の日曜に家に燻っている筈はない。小店員が取次に現われて、

「若旦那さまはお店の御用でドライブにお出掛けになりました」

と言った。瀬戸君は安達君の名刺まで徴発して、

「探検訪問」

と書いて置いて来た。

「お店の御用でドライブとは如何にも小宮式だね」

「宜しくやっているんだ」

「一緒だろうね」

「無論さ」

「あゝいうのが事故を起すんだよ」

「何故」

「直ぐ背後に恋愛場面が発展していると思うから、余程精神修養の積んだ運転手でないと、注意が散漫になる」