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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
一同ハッとして、その方へ駈け出そうとした時、意外にも、三人の賊がこちらへ走って来る。外へ逃げた所で、助からぬと観念したのであろうか。
ソレッとばかり、刑事の一団が、賊に向って殺到した。
あとで分ったのだが、あの小部屋の扉は、中からも鍵がかかる様になっていて、しかもその合鍵をもう一本、賊が持っていたのだ。彼等はお互に縄を解き合って、その鍵で扉をあけて、見張りの刑事を突飛ばして逃げ出したのだ。
それにしても、なぜ彼等は外へ逃げないで、奥の方へ走って来たのか。
アア、分った。彼らには最後の切札が残されてあったのだ。
見よ。贋品川は、死にもの狂いの形相すさまじく、穴蔵の片隅に立はだかって、黒い円筒形のものを振りかざしているではないか。
尾尻の様な口火がチョロチョロ燃えている。
「サア、この穴蔵を逃げ出せ。そうでないと、皆殺しだぞ」
賊が引つった唇で、わめいた。
あっと驚く人々、中には已に入口へと駈け出すものもあった。
「イヤ、逃げ出すことはありません。オイ、君、僕がそのおもちゃに気づかなかったと思っているのかい。ピチピチ燃えているね。だが燃えるのは口火の先っぽばかりだぜ。