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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
大団円
くだいて云えば、大体右の如き事柄を、大川博士は一種異様の、奇怪な、気違いめいた表現で物語った。人々がそれを聞いて、何とも云えぬ、悪夢にうなされている様な、変てこな気持ちになったことは云うまでもない。
大団円
「ではここにいる三人も、先生の手術を施された訳ですね」
明智が尋ねた。
三人というのは、本物の赤松総監と、宮崎常右衛門氏と、野村秘書官だ。贋物をこの世に送り出した上は、本物の方は、全く違った人間に改造してしまわねば危険だ。賊がそこへ気づかぬ筈はない。
「ウン、まだ着手したばかりだ。皮膚の色艶を変える為に、薬を塗った所が、あばれて仕方がないので、睡眠剤を注射した所だ」博士が答える。
「顔の繃帯を取って見てもよろしいでしょうか」
「イヤ、そいつはいけない。今繃帯をとっては、元の木阿弥だ。薬剤の効力がなくなってしまう。とってはいけない」
薬剤の効力が失せるのは、こっちの望むところだ。博士が何と云おうとも、繃帯をとらなければならぬ。
明智は刑事達に目くばせして、博士が邪魔をせぬ様、つかまえさせて置いて、構わず繃帯をめくり始めた。
「コラッ、いかんと云うのに、コラッ、やめぬか」